永遠(とわ)なる想い  


あの日を覚えてる? あの言葉を覚えてる?



『 母さん、僕は何故生まれたの? 父さん、僕は何故ここにいるの?』
『 普賢 』
『 望ちゃん…… 』
『 やだな、聴いてたの 』
『おぬしは、わしに合うために生まれたのだ。 わしといるためにここにおるのだ。 それでいいであろう? わしにとっておぬしは何にも代えがたき大切な者。 わしがここにおるのもおぬしと共に居たいから、そんな質問は無意味じゃよ。 わかっておるのだろう? 』
『 ……くす、そうだね、確かに僕は望ちゃんのためにここにいるのかもしれない。 そして望ちゃんも僕のためにいるね。 愛してるんだ 』
『 わしもだ。 普賢、愛している 』




そう言ったけど。
ほらね望ちゃん、言ったでしょ。 望ちゃんが愛してるのは僕じゃない。
だけどいいんだ。
ずっと望ちゃんと歩いてきたのは僕だもの。
愛してるよ。
だから望ちゃんのためなら何だってできる。 何だってする。
それだから、今日でお別れだね。
望ちゃんを聞仲に殺させはしないから。 僕が護るから。
でも間違えないで。
僕は望ちゃんのためじゃない、自分のために死ぬんだ。 望ちゃんを逝かせたくないから。
それで望ちゃんを救えるなら僕は本望だよ。
だから自分を責めないで。
君のせいじゃない。 君に狂った僕が悪いんだ。
でもそれを僕は後悔しないから、誇ってるから望ちゃんもそんな僕を誇って。
そして僕の分の命も生きて。 決して死なないで。 弱い望ちゃんは僕の望ちゃんじゃないから、ただの抜け殻だからそんな望ちゃんは知らないし愛せないから、だから僕が消えても泣かないで仲間と何よりもを護ってあげて。 大切にしてあげて。
望ちゃん忘れないで。
君は皆に支えられてるけど人は皆そうだし、皆も君に支えられてる。 そして望ちゃんが好きだからそばにいるんだ。
僕もそうだよ。
だから僕は今日でこの世を去るけど、ずっと望ちゃんのそばにいるからずっと見てるから、君は独りじゃないよ。
ねぇ望ちゃん。
決して忘れないで。
僕という存在を。 君を愛したバカな僕のことを。
そうしたら僕は永遠に望ちゃんと居れるから。 離れずにいられるから。
今日でもう会えなくなるけど、話せなくなるけど、僕はいつでも望ちゃんのそばに居るから、心の中に居るから、僕が在ることを忘れないで。
あの日の望ちゃんの言葉は今じゃ嘘だけど、僕の言葉は嘘じゃないから。
望ちゃんのために僕はここに居るって言ったのは偽りじゃないから、けれど君を残して逝こうとする僕は何なのかな?
望ちゃんはぼくのためにそこに居てくれるからそれが嬉しくて僕はそれに甘えてばかりいたけど、望ちゃんがを愛する今はそれが苦しいだけで、その視線が、仕種が、声が何よりも好きだけど今はそれは鎖で、その鎖から僕は望ちゃんだけを解き放ってあげたいから、君を想うのは僕だけど君は僕を想ってくれなくていいから。
僕を愛する望ちゃんを好きだけど、と居る望ちゃんはもっと好きだから、僕を愛したことは忘れて。
それで僕はいいから。 幸せだから。
愛してたよ。 愛してるよ。 ずっとずっと望ちゃんだけを見てるよ。
僕への想いは忘れていいけど、これだけは決して忘れないで。 僕との愛なんて全て忘れていいけど、ただこれだけは覚えてて。
望ちゃんがどこに居ようと、僕がどうなってようとも僕は君が好き。
一生望ちゃんだけだよ。